USP<729>試験


静脈注射用エマルションは、入院患者のためのエネルギー源として、必須脂肪酸やビタミンを提供する目的で臨床的に数十年来使用されています。エマルション製剤中にサイズの大きい油滴が含まれていると、体の各所の毛細血管を詰まらせる原因となります、またエマルション自体も不安定化します。USP729はこの脂肪乳剤のための規格および試験法です。

  

USP729試験は、脂肪乳剤の平均粒子径と、粗大粒子の情報を必要とします。単一の技術、または1台の分析装置でこれらを分析するのは難しいため、通常はMethod1、Method2として別の試験を行います。また日本国内の試験では、Method1と同等の試験方法で平均粒子径のみを検査します。

脂肪乳剤 エマルション USP729


Nicomp DLS システム

高分解能DLS(動的光散乱)システムNicomp N3000は、最少0.5nmからの粒子サイズ測定を可能にしたDLSです。独自の分析アルゴリズム、多角度検出器の搭載などにより、精度よく再現性の高い分析を可能にします。

 

Nicompを用いた分析では、まずエマルションの粒度分布のピークやばらつきの分析が可能です。USP729のMethod1に定められた安定性試験や、製造装置に組み込んだオンラインシステムによる、エマルション製剤の品質管理などのソリューションも提供可能です。

動的光散乱 DLS USP729
Nicomp N3000


AccuSizer A7000 シリーズ

単一粒子光学測定法(SPOS)システムを採用した、AccuSizer A7000シリーズは、個数カウント方式の粒度分布測定装置です。

高感度センサーと自動希釈機構の搭載により、比較的高濃度のサンプルを1個から定量することが可能です。

 

USP729試験では、粗大粒子の数を定量し、エマルションによる血管閉塞のリスクを測定します。AccuSizerA7000シリーズも、Part11対応のソフトウェアによる規格試験や、オンライン装置に組み込んだ工程管理に使用可能です。

個数定量 粒度分布 USP729
AccuSizer A7000


USP729メソッド1

サンプルとなるエマルションを動的光散乱(DLS)で平均粒子径を測定します。

USP729の要求を満たすためには、まずポリスチレン標準粒子でシステムを校正します。また測定したサンプルの強度加重による平均粒子径が0.5µm以下でカイ2乗値が十分に小さい必要があります。

 

このメソッド1の測定を行った結果を右の図に示します。カイ二乗計算は0.43と十分に低く、平均粒子径は、500 nm以下の313.2 nmとなっています。

 

このエマルションはメソッド1に合格しています。

 

USP729 平均粒子径
USP729 平均粒子径


USP729メソッド2

サンプルとなるエマルションの大きな粒子の数をAccuSizserで確認します。

USP788とUSP1788にこの技術を使う際のガイダンスがあり、これに対応した試験を行います。

 

ポリスチレン標準粒子でシステムを校正します。この試験では、数と大きさの校正を取ります。測定の下限を1.8µm、上限を50µmとして、5µm以上の粒子数(PFAT5)を測定します。

 

このPFAT5の値が0.05%以内であれば合格です。

 

右の図は、不合格品を測定したときの結果です。5µm以上の粒子の割合がかなり多くなっていることが判ります。

USP729 PFAT5 脂肪乳剤
USP729 PFAT5試験