タンパク質 凝集性評価

このページでは、粒度分布測定による、タンパク質の凝集性評価のアプリケーションについてご紹介いたします。

培養タンパク質や抗体を用いるバイオ医薬品は、低分子化合物を用いた従来の医薬品と比べて、薬効が高くこれまで治療が難しかった疾患への適応が期待されるなどメリットがあります。

その一方で、分子構造の複雑さに起因する問題もあります。問題の1つに、バイオ医薬品が凝集体を作りやすく、凝集したタンパク質が溶液から析出してしまうことがあります。

 

現状のUSP788試験では、粒度分布測定やパーティクルカウンターで、直径5μm以上の粒子の個数を管理するという点に重きが置かれています。しかしながら、何もないところから、5μmの粒子が凝集することはなく、より小さいサイズのたんぱく質の凝集粒子が集まって、より大きなタンパク質の凝集粒子を形作ると考えられています。実際に、USP788を補完するUSP787試験などでは、より小さいサイズの粒子の個数を測定することを求められています。



AccuSizer FX nano dual

AccuSizer FX nano dual (以下FX-nano)は、150nm-150μmのレンジの粒度分布・粒子の個数を測定できる装置です。

測定時間は、1測定あたり数分以内と短く、560nm以上のタンパク質の凝集体であれば、定量測定が可能な装置で、150nm-560nmの領域は、半定量の精度での測定が可能です。

 

またFX-nanoは微量分析にも対応しています、最少500μL程度のサンプルでも、粒度分布を測定可能です。高価な試作タンパク質を無駄にせずに粒度分布測定が可能です。

 

弊社ではアプリケーションノートも用意しておりますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。日本語版は弊社までお問い合わせください。

タンパク質 凝集 粒度分布
タンパク質凝集粒子 粒度分布測定

測定事例1

粒度分布 凝集 タンパク質
粒度分布測定 IgG溶液の測定
粒度分布 タンパク質 凝集粒子
粒度分布測定 IgG溶液のフィールター前後

この測定結果(左図)はIgG(免疫グロブリン)を1%リン酸緩衝液に溶解して、FX-nanoで測定したものです。計測した粒子 の総個数は約11万個、粒子数濃度に直すと約10億個/mLでした 。最大でこれだけの数のタンパク質の凝集粒子が溶解液中に存在することになります。

次にこのIgG溶液を 0.2 μm のフィルターに通し、FX-nanoで再度測定しまた。フィルターを通す前後の結果を比べる(右図)と、粒子数濃度は約1/3の3.1億個/mLまでさがりました。フィルターにより、タンパク質の凝集粒子数が減少しているものと推測できます。


測定事例2

あるタンパク質群を測定した結果を示します。バッファーと3種類の異なる調製状態のタンパク質溶液をFX-nanoで測定し、粒子サイズとタンパク質凝集体の濃度を測定しました。Table1にバッファーとタンパク質溶液について、粒子径0.19μm以上の粒子濃度を示します。

この試験では、サンプルAからタンパク質の凝集粒子が多く発生していることが判ります。


タンパク質 凝集粒子 粒度分布
タンパク質 凝集粒子 粒度分布

        図1 粒子数/サイズ分布        図2 粒子数積算/サイズ分布


    図3 粒子数/サイズ分布 logスケール         図4 粒子数積算/サイズ分布 logスケール

図1、図2には、それぞれ粒子数/サイズの分布と粒子積算数/サイズの分布を示します。図3と図4に同じタンパク質凝集体のデータでY軸をlogスケール表示にした図を示します。logスケール表示により、幅広い濃度分布の測定結果を比較し、タンパク質の凝集粒子の有無や、フィルターの効果などを検証することができます。

また、積算の粒度分布表示により、ある粒子径以上の総粒子個数も確認することができます。一般にフィルター処理などを行うと、粒度分布のある粒子径以上の粒子数が顕著に減少します。